小説の舞台になった釣宿で釣り船体験
100年以上続く老舗の乗合船で、東京湾の釣り物に挑戦しよう

山本周五郎の名作『青べか物語』は、昭和初期の浦安を舞台にした作品。周五郎は青年の一時期を浦安で過ごしたことがあり、作中に登場する船宿「千本」は𠮷野屋がモデル。「吉爺」とよばれているのは3代目のご主人だそうです。今回は5代目の吉野公大さんにお話を伺いました。

船宿𠮷野屋では大型快速船14隻を保有し、東京湾での釣りを楽しめます。アジ、シロギス、イカ、カワハギ、メバルなど釣り物はシーズンにより4〜7種類ほど。魚種ごとに船が異なり、目的の釣船で東京湾の魚礁へと繰り出します。

こちらは受付をする宿内のカウンター。数年前に耐震工事を兼ねてリニューアルしたため清潔感があり、待合室や着替えスペース、トイレも完備しています。

「本格的に釣宿をやり出したのはうちの爺さんの代なので、創業から100年は経ってますね。寒い時期は海苔をとって、暖かい時期は釣りをやっていた。私は物心ついた頃から船に乗って釣りに出ていました」と竿のメンテナンスをしながら語る吉野公大さん。宿内には竿やリール、ライフジャケットなど釣具が並び、レンタルも行っています。

「うちは予約不要なので、毎日6時からお越しいただく方もいるんですよ。栃木や群馬、最近は福島や新潟などちょっと離れたところからいらっしゃる方も多いです。東京湾には世界屈指の魚礁があって、いろいろな魚が釣れるからおもしろい。ビギナーの方に一番のおすすめはアジ、二番目はシロギス。どちらも通年楽しめます」

壁に飾られた写真に映っているのは山本周五郎氏(左)と三代目店主 吉野長太郎さん(右)。浦安の遊漁船の歴史は古く、当時は200人以上の組合員がいて、川の両岸には100隻もの船がつけてあったそうです。

漁師町・浦安の伝統を代々受け継いできた船宿𠮷野屋さん。最近は常連さんだけでなく、ファミリーや女性のグループなども増えているそうです。「初心者の方は難しく考えず、まずはやってみてほしいですね。釣り道具一式レンタルしていますので、手ぶらでも大丈夫です。自分で釣った魚は何よりもおいしいですよ」
事業者 | 𠮷野屋 |
住所 | 千葉県浦安市猫実5-7-10 |
電話 | 047-351-2544 |
定休日 | 火曜日 |
URL | https://www.funayado-yoshinoya.com/ |